国宝 紅白芙蓉図(部分) 李迪筆 東京国立博物館
120%「国宝」展を楽しむための豆知識

どれだけ紹介を重ねても、
まだまだ語りつくせない、「国宝」展のみどころ。
ここでは、少し視点を変えた「国宝」展の楽しみ方をご紹介しましょう。


海外で作られた日本の国宝

日本の宝である国宝ですが、すべてが日本で作られたものとは限りません。現在登録されている国宝の約1割は、中国や朝鮮半島など、海外で作られ、日本にもたらされたものです。先人たちが"美しい"と感じ、愛玩した請来品が、日本の国宝として大切に今へと受け継がれているのです。国境をも超える国宝のすばらしさを、改めて感じることができるでしょう。

ササン朝ペルシアの影響を受け
中国・唐で制作された

国宝 四騎獅子狩文様錦

国宝 四騎獅子狩文様錦(しきししかりもんようにしき)(部分)

一面 中国 隋~唐時代 7世紀 奈良・法隆寺

写真:奈良国立博物館(撮影:森村欣司)

Ⅰ・Ⅱ期

陶磁の国宝は全部で14件
そのうち9件は海外生まれ

国宝 飛青磁花入

国宝 飛青磁花入(とびせいじはないれ)

一口 中国 元時代 14世紀 大阪市立東洋陶磁美術館

撮影:六田知弘

Ⅰ・Ⅱ期


海を越えた交わり

異国との交流の中で、独自の王朝文化を築いた琉球王国。その文化を物語る貴重な歴史資料として、計1251点もの工芸品や文書類が、一括で国宝に指定されています。さまざまな分野の作品や資料がまとまっているからこそ、当時を知る第一級の資料となり得るのです。こうした資料は、美しさだけでなく、悠久の歴史という後世へ伝えるべき国の宝の、また違った側面を見せてくれます。

色とりどりの玉で飾られた王の象徴

国宝 琉球国王尚家関係資料のうち玉冠

国宝 琉球国王尚家関係資料(りゅうきゅうこくおうしょうけかんけいしりょう)のうち玉冠(ぎょくかん)付簪(つけかんざし)

一具 第二尚氏時代 18~19世紀 那覇市歴史博物館

Ⅰ期

王族のみに許された黄色地の装束

国宝 球国王尚家関係資料うち鳳凰蝙蝠宝尽青海立波模様袷衣装

国宝 琉球国王尚家関係資料(りゅうきゅうこくおうしょうけかんけいしりょう)のうち鳳凰(ほうおう)蝙蝠(こうもり)宝尽(たからづくし)青海立波模様(せいがいたつなみもんよう)袷衣裳(あわせいしょう)

一領 第二尚氏時代 18~19世紀 那覇市歴史博物館

Ⅱ期


やっぱりスゴイぞ、空海

日本仏教史に偉大な足跡を残した空海ですが、実は、"国宝を一番多く遺した人物"ということをご存知でしょうか。「三筆」のひとりとして知られる書の達人・空海の自筆は、8件が国宝指定。そのほか、空海が唐から持ち帰ったとされる密教法具や、その思想に基づいて制作された仏像や絵画など、空海の影響のもとで生み出された国宝は、数十件にものぼります。たった1人で、これほどの国宝に関わる人物は、空海の他に例を見ません。本展では、自筆の書跡をはじめ、空海にまつわる、さまざまな分野の国宝を展示します。それぞれの展示室で、空海ゆかりの品を探してみてください。

空海が請来したとされる
名品の数々

国宝 金銅錫杖頭

国宝 金銅錫杖頭(こんどうしゃくじょうとう)

中国 唐時代 8世紀 一柄 香川・善通寺

通期


120年間、ずっと国宝!

本展に出陳される「観音猿鶴図」(牧谿筆、京都・大徳寺)や「吉祥天像」(奈良・薬師寺)は、明治30年制定の「古社寺保存法」でも、一等ランクの国宝と評価されました。その後、「文化財保護法」の制定で、旧国宝が重要文化財と新国宝に分類された際にも、国宝として登録され続けています。"国宝"という概念が生まれた120年前から、ずっと国宝でありつづけた名品といえるでしょう。


古社寺保存法から文化財保護法へ


  • 明治4年(1871) 古器旧物保存方
    廃仏毀釈や海外流出の危機から文化財を守るため制定された、わが国最初の文化財保護の法令。

  • 明治30年(1897) 古社寺保存法
    古社寺の宝物調査を受け制定。はじめて「国宝」の言葉が使用された。一等から六等まで等級を分けて国宝(旧国宝)に指定した。

  • 昭和4年(1929) 国宝保存法
    社寺だけでなく個人の所有文化財も対象とした法律。

  • 昭和8年(1933) 重要美術品等ノ保存ニ関スル法律
    美術品の海外流出を防ぐために制定。

  • 昭和25年(1950) 文化財保護法
    前年の法隆寺金堂壁画の焼失事故を受け、戦前の文化財に関する法律を統合して制定された。従来の国宝(旧国宝)を重要文化財とし、その中から新たに国宝(新国宝)が選び直された。